ものづくりスタートアップのための
契約ガイドライン

STEP4(初期)量産

量産ステップは、市場へ投入する
最終プロダクトを
生産ラインに乗せて
製造するステップである。
この段階では、量産試作までとは
別の契約
(製造委託契約等)を
結び直すことが想定される。
プロダクト単体だけでなく、
生産工程の管理が必要となるステップでもある。

Processプロセス概要

Input

量産用の仕様書、製作図面や回路図、部素材の調達計画、生産スケジュールなどが作成されており、それらを発注先の製造業者と摺り合わせ上で、量産を発注する。

Process

  • プロダクトによって異なるものの、数百~数千個程度の量産を行うのが一般的である。この段階では、特に仕上がった製品の検収の重要度が高くなる。
  • 市場不具合品や傾向不良への対応といったアフター対応の取り決めも行う。

Output

ユーザに販売する最終プロダクトが成果物である。

Problem case・Riskあるある問題事例・リスク

量産した途端、製品の品質低下や
歩留まり悪化が発現し、設計からやり直し

量産試作では問題なく製作できることを確認したのに、量産ラインにのせた途端に加工・組み立て精度のブレが許容範囲を超えたり、歩留まりが著しく悪いことが発覚したり。結局、設計のやり直しをすることに。

量産製品が仕様を満たしていないことが
後から判明し、全て廃棄に

試作段階で問題なく稼働していると判断したが、量産製品ができてみると予定の稼働期間を大幅に下回り数日しか稼働しないことが判明。委託先は要件定義ステップから大変協力的な製造仲介業者で、口約束で多くのことを依頼してきた経緯もあり、責任を問うわけにもいかず。結局、全ての製品を廃棄することに。

予期せぬ部品代のキャッシュアウト

調達のリードタイムが長い部品代だけ先に費用を払ってくれと突然言われ、予期せぬキャッシュアウトが発生。資金繰りに窮する事態に。

販売後の製品に不良品が発生したが
原因究明ができず対策もスムーズに進まず

販売した製品が不良品として大量に返品。しかし、製造業者と原因究明に向けた協力がスムーズにできず、対応がどんどん遅れクレーム発生や新たな不良品の発生などトラブルが収集つかない状況に。

Measures・Precautions対策・予防策(業務面/契約面)

Business業務面

自ら生産管理の手綱を持つ心がけを

まず、スタートアップがしっかりと量産の生産工程や進捗状況を把握し、自分たちが手綱を引いている状態をつくることが重要である。たとえ製造を仲介してくれる業者に製造委託をする場合にも、その先の製造業者との責任分担や何かが起きた時の対処法についてしっかり確認をしておきたい。海外で製造した方が安価なケースでも、製造現場の把握・管理が困難になる点を考慮した上で、国内・海外の選択肢を検討すべき。

不良品・不合格品の判定

また、原理試作のパーツと量産試作(量産)のパーツは異なることが多く、試作で問題なく稼働していたものが、量産で突然動かなくなるなどの問題が発生することもある。時間との勝負の中ではあるが、量産試作の段階でしっかりと量産製品を前提としたチェックや検収方法の検討を実施したい。「検査基準書」等をしっかりと合意で定めておき、不合格品の修補・返品に対応しやすくしておくことも重要である。

量産ラインの準備・計画

量産試作では1~3個といった少数に対して熟練者がベストアプローチで加工・組み立てを行う一方、量産では、例えば1,000個以上の台数を多様なスキル水準の工員が量産ラインで製作する。そのため、加工誤差やパーツの性能誤差などを考慮して「性能と作りやすさのバランス」を取りながら製品設計や手順・工程計画を行うことが不可欠となる。そのようなノウハウが社内に無い場合は、早期に量産の経験豊富な事業者(量産化アドバイザー等)に協力・アドバイスを依頼することが必要だろう。

納品・支払いの取り決め

量産工程では部品・部材や加工等にかかる費用も大きくなることから、支払いのタイミングや、最低限の発注量の保証と追加発注のタイミング、リードタイム等については事前に相談しておく。金型のような主要費用だけでなく、その他の部品等についても、書面上で納品・支払いに関する取り決めをしておくことで、資金計画が明確化できる。

アフター対応

製品販売後の対応への準備も怠ってはいけない。不良品が返品された際には他の製品への影響を判断を素早く行う必要があるため、製造業者との連携が必須になる。返品後の解析期間などを明確にしておく、傾向不良と認定するための条件を決めておく、といった相談を製造業者と事前にしておきたい。また、リコールの手続きについても計画しておくとよいだろう。

Contract契約面

費用分担や製造能力についての取り決めを行うことが重要。加えて、製品生産・販売を終えた時点の残材等の買取についても事前に協議しておきたい。製造物責任保険の加入も含め、製造物責任発生時の対応も取り決めておくこと。

Tips海外での量産は慎重に!

初期の量産ステップでは、海外の製造拠点が選択肢になることもあるだろうが、トラブル事例も少なくない。

海外で生産した量産製品が仕様を満たしていないことが後から判明し、全て廃棄に

試作段階で問題なく稼働していると判断したが、量産製品ができてみると予定の稼働期間を大幅に下回り数日しか稼働しないことが判明。製造拠点は中国であったが、直接の委託先は大変協力的な仲介業者で、口約束で多くのことを依頼してきた経緯もあり、責任を問うわけにもいかず。また、中国の工場からは原因分析や改善に向けたアドバイスを得られなかった。結局、全ての製品を廃棄することになった。
⇒海外での生産は、現場の把握が困難となるため特に注意が必要である。たとえ海外で製造した方が一見コストが安いケースでも、製造現場の把握・管理が困難になる点を考慮した結果、国内の製造業者を選択して成功したスタートアップもいることを覚えておきたい。

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