ものづくりスタートアップのための
契約ガイドライン

STEP2原理試作

原理試作のステップは、機能や性能を限定しつつ
実際にプロダクト(またはその一部)
をつくってみることで、
ユーザが実際に価値を感じるかどうかを確認し
(=Validation)、その上でデザインや仕様上の
改善をしながら
要件定義書や仕様書、
試作図面等をブラッシュアップすることを
繰り返すことで
プロダクトの完成度を高めていく、
リーンなステップである。
また、できあがった試作品で
資金調達を進める段階でもある。

Processプロセス概要

Input

原理試作のステップにおけるインプットとしては、原理試作品用に準備した初期の要件定義書、仕様書、図面、スケジュール、等が想定される。

Process

  • 原理試作のステップでは、要求・要件定義で作成した要件定義書や仕様書、試作図面を基に、実際にプロダクトをつくってみることから始まる。その際、最終プロダクトの一部の機能に限定したり、プロダクトの一部分のみを制作するといった選択肢もある。
  • できあがった試作品を活用し、当初考えた機能が達成されそうか、ターゲットユーザには価値を感じてもらえそうか、を確認するPoC(Proof of Concept)を行う。
  • PoCの結果を踏まえて仕様書や試作図面のアップデートを行い、必要に応じて新たな試作品の制作をするというサイクルを繰り返すことで、量産試作に向けてプロダクトと書類の完成度を高めていく。
  • この際に作成される試作品、イメージ動画、ユーザーの声等を活用して、クラウドファンディングやVC調達等、量産に向けた資金調達を進める。

Output

原理試作のステップにおけるアウトプットは、ブラッシュアップされた要件定義書、仕様書、図面(製品図面、製作図面)や回路図等が想定される。これらの書類をもって、量産試作の相談を開始できる状態となる。また、原理試作品やそのイメージビデオ等を活用して、クラウドファンディングや更なる資金調達も達成している可能性がある

Problem case・Riskあるある問題事例・リスク

知財で大問題

原理試作ではプロダクトの図面が固まり始めることになる。自分のイメージが具現化して喜びもひとしおとなるタイミングだが、試作図面、回路図などには著作権等の知財が発生する可能性があることをお忘れなく。
「著作権等の知財は、アイデアの生みの親であるスタートアップに帰属するんじゃないの?」と思うかもしれないが、そうではない。実際に、プロダクトを作った後に回路図やパターン図などを製造業者から提供してもらえなかったり、提供されたとしても著作権は譲渡も使用許諾もされないことが判明し、有償での買い取りを相談したところ、想定外の金額を提示されるといったこともある。

試作品の完成イメージにずれがあることでトラブルに

原理試作はそもそも確認ポイントを限定して機能や性能をそぎ落とした試作品である。しかし、完成イメージに双方のずれがあったことが原因でもめごとになることがある。例えば表面加工を簡素化した試作品について「こんな表面仕上げのイメージじゃない」といった点で一悶着が起きることも。

部品調達が難航し、試作スケジュールが大幅に後ろ倒しに

試作を開始した段階で部品調達が難航し、納期が予定の2倍以上かかる事態に。コンセプト確認のスケジュールも大幅に後ろ倒しせざるを得なくなってしまった。

Measures・Precautions対策・予防策(業務面/契約面)

Business業務面

知財について

原理試作までの段階では、著作権等知財の対象となる試作図面、回路図が作成される。製造業者と協業する際には、できるだけ早い段階で、提供を受けるべき製作図面や回路図、発生する知財の権利の帰属について相談をして認識を合わせておくことが不可欠である。
まず、協業を開始する前にスタートアップ側で今回の協業に関連する既存の知財があるか整理し、その知財の存在を相手に明示することが重要である。これによって、協業が開始した後に発生した知財との混同を避ける下準備ができる。
次に、協業開始後に発生する可能性のある知財(例:試作図面、回路図)については、どちらの帰属とするのかを具体的に決めておく必要がある。 自分たちの想定するビジネスモデルを基に、対象とする知財についてどの程度の権限を所有していなければならないか、が決まるはずだ。例えば、あくまでプロダクトの生産・販売を主導する事業を目指すのであれば、量産段階で対象とする知財を利用して別の製造事業者との協業も想定し、知財の共有または最低でも使用権を確保する交渉をする必要がある。
当然ながら、スタートアップとして確保したい権利の強さに応じた価格交渉が必要なことは覚えておきたい。

試作品のアウトプットイメージについて

原理試作では、毎回の試作ごとに、「この試作で確認したい項目は何か」、「何に使う試作品なのか(例:展示会に展示、ユーザテスト等)」を事前に明確化して、何を作り、何を省くのか、を双方で認識を合わせておきたい。もちろん、書面に残すことも忘れずに。

試作用の材料や部品の調達スケジュール

原理試作で必要な材料や部品について、要求・要件定義の段階から調達のメドを確認しながら進めたい。

Contract契約面

原理試作と量産試作では製造業者を変えることも多いため、契約の対象としている業務範囲を明確に区切るか、解消事由を定めておくほうが良い。スタートアップは小規模といっても資本金額によっては下請法の規制対象となり、発注書の明確化や支払い遅延防止などの義務を負うことに注意すべき。

Support Step支援ステップ

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