ものづくりスタートアップ関連イベント

J-Startup Hour #44
~「スタートアップと製造業の
コラボによる成長」~

今後取り組んでいく、
確かなモノづくりをベースにした
サービス開発・社会実装

中間

これから量産・社会実装に向けて、どういう課題を越えていかなくてはならないのでしょうか。

金丸

現在、モノとしては仕上がってきているので、これから社会実装していく中で、品質を安定的にキープしながら生産を続けて、コストをどんどん下げていかなくてはなりません。tsumugさんの製品は初期の試作時点からだと、今は60%くらいコストダウン出来ていますが、まだまだ更に半分までやっていかないといけないなと思っています。

また、社会実装のフェーズでは、次のモデル開発を効率よく進めていく必要があり、要求仕様書など、tsumugさんが今まで開発してきた技術や経験値をドキュメントにしていくことも大事です。特にスタートアップさんは、テンポラリーに外注するケースが多いなか、こういう技術資料っていうのはtsumugさんの大事な財産になると思うんですよね。ここでしっかり整備して、これからのものに有効活用していくというのが今のフェーズとして大事かなと思っています。

中間

tsumugさんとしては、モノづくり以外にもサービス開発や協業先の開拓はどう進めるのでしょうか。

牧田

モノづくり系のスタートアップはそうだと思いますが、モノがあると話が早くなります。

品質部分でも見てもらって問題無いものを出していって、作ったモノを実際に触って動かしてもらって、サービス展開っていうのを進めていきたいなと思っています。

中間

ちなみに試作機は何号機みたいな感じですか。

牧田

もう本当にいっぱいあるので、そろそろ処分に困っています(笑)。もったいないから、博物館みたいなのを作って歴代年代別に並べています。本当に派生形とかもあって、全部数えると幾つかあるかわかりませんが、数十とかあると思います。

中間

試作・改良を繰り返すなかで、検証ポイントをどう作っていくか、どのように次の仕様を作っていくか、などのノウハウも溜まっていきますでしょうか。

牧田

それも走りながらでしたね。ブートキャンプの時には、シャープさんのスケジュール、マイルストーンを教えて頂いて、ベースはこうだよっていうのはありました。それでも進めながら「この辺に検証入れようか」、「ここに時間掛かっちゃうから、別の検証をここでやっておこう」など。割とその都度、バラバラだったと思います。

中間

検証は自社内だけでできましたか?

牧田

シャープさんや、シャープの関連工場さんと協力しながら進めました。割とシビアな検証やっていますよね?

金丸

信頼性テストは、tsumugサービスは我々と同じく一般のお客様に提供するものなので、我々メーカーと同じレベルのテストをしていて、トップレベルの検証をしています。

牧田

そういう検証結果のレポートであがってくるのは、『シャープとしては、これは「ナシ」だと思います』っていうのが、あがってきたりします。こちらも自分たちの尺度でみると「アリ」だと思えて、これで出したいと思ったりするんですけど、『んー、わかった!やり直そう』みたいな感じになります。

ブートキャンプにさかのぼるのですが、シャープさんも色んな家電を作ってこられて、事故とかも経験されていて。いくつかの事例も聞かせていただきました。私たちは今、ものづくりベンチャーをやるのに、もしかしたら私たちの製品を使って人が怪我をしてしまうかもしれない、家という資産にも影響がでてしまうかもしれない、最悪の場合、人の命を奪ってしまうかもしれない。ということを、そのブートキャンプで学ばせていただいたんです。やっぱり、そこって間違っちゃいけないなっていうのをすごく思ってまして、なので検証は本当にしっかりやらないといけないですね。

中間

スタートアップからメーカーへの要望として、アーリーアダプター向けで多少壊れても許してくれるお客さんだから、品質基準落としてよ、みたいな話もあるのかと思います。そのあたりメーカーさんとしてどういう風に考えられていますか。

金丸

スタートアップさんにとっては顧客とビジネススキームを考慮して品質基準を作ることが大事だと思います。例えば特定のお客様だけにトライアル的な販売や、壊れたものをすぐ新しいのと取り換えて返しますよ、など色んな顧客に対するスタートアップさんのポリシーとかビジネスモデルに合わせた品質や信頼性の基準が作れると思います。その基準作りを僕らはお手伝いしています。

ただ、製品の安全性については、これは妥協できないと思っています。シャープがモノづくりに関わっている以上、製品の安全性という所については、絶対説得するし、理解してもらいたいことと思ってやっています。

中間

ちなみに、モノづくり以外で、社会実装で一番苦労するポイントはどういったところでしょう。

牧田

新しいモノへの理解ですかね。tsumugもそうでしたが、CESに出展していて、米国でも出しているってことが、日本国内での反応がよくなる、ということは現実にあって。そういった実例や実績がないと、新しいものを新しいと受け入れられないのは寂しいですね。

新しいモノへの理解が社会全体的に拡がるとよいかなと。サービスの中身についても、「そんな、すっとんだモノ」と拒否せず、まずは何でも受け入れてほしい。社会実装については、そのあたりが苦しいところかなと思います。

行政との連携もコミュニケーション

中間

行政のこういう支援があったらこういうことがやりやすいな、という要望ってありますでしょうか。

牧田

色んな自治体さんとお話しさせていただいて、今のシャープさんとの関係とも通じるのですけど、やっぱりそのコミュニケーションのし易さ、相談のし易さみたいなのがあるなと思っています。結局、スタートアップの定義としては、「超ド短期で急成長する事業体」なので、そういう時間軸でサービスを考えようと思うと、たいてい何かしら新しいものだったり、新しいチャレンジをしなきゃいけなかったり、過去に例がなくて基準をどういう風に考えていいのかわかんない、みたいな感じのものが多かったりすると思っています。

そういうケースにおいて、結局は相談し易くて、会話が途切れず一緒にやれる関係性がいいのかなと思います。そういう意味では、今実証を進めている福岡市は、創業特区として福岡市を「起業家の街にするんだ」っていうビジョンを掲げているので、コミュニケーションしやすいです。このようなことで悩んでいてと話すと、「そうなんですかー」って言いながら、次の日には提案持って来てくれたりします。そういった相談のしやすさ、話し掛けやすさがあるとスタートアップとしてはやりやすいです。

シャープがスタートアップを
支援する意義

中間

シャープさんとして、スタートアップを支援するしないを、どう決めていますか?

金丸

シャープが儲かるとか、シャープにシナジーがありそうとかを言い始めると、限られたスタートアップとしかお付き合いできません。ですので、基本的に限定せずに、本当にモノづくりが出来るか、モノづくりに必要な費用をお持ちかどうかを基準にしています。

スタートアップさんの支援について、シャープサポートで、スタートアップが大きくなったり、新しいモノが世に出ることが成果だと思っています。未来その先までもスタートアップさんに寄り添って、何年掛かるかわかりませんがシュープの全く新しい事業にシナジーが出ればなお成果が大きくなると考えています。実際、スタートアップさんからシャープに一緒にやりませんかという話しもあって面白いことが起こりそうです。ただ、この活動を長く続けるための最低限の我々の経費をまかなうという意味で、スタートアップさんからサポートの対価をもらってやっています。

中間

シャープさんの社内で否定的意見はでていないのですか?

金丸

社内部門との調整は必要ですね。やはりシャープのノウハウをそのまま出すわけにはいかないので、スタートアップさんに合うもの、必要なものだけ選んで調整して出しています。「イノベーションを起こすために必要」と、会社内でコンセンサスをとってきています。

牧田

ブートキャンプの時にtsumugが参加したのはまだトライアル回だったので、一部の講座の内容が事業部と調整中ということで、「それは話せない」の一点張りで進まなくなってしまったんですね。スタートアップも4~5社ほど参加していて非常に聞きたい内容だったんですが。

そのとき、ブートキャンプの運営側の方が「誰に確認したらいいんですか!」と調整を進めてくださったことで、その内容の講座が実現したんですね。実際に運営する方々の熱量や想いを感じて、作り上げなければという気持ちになりましたね。

中間

最後に、会場のみなさまへひとことお願いします。

金丸

シャープは厳しかった時期から立ち直りつつあります。この時期にインキュベーションを目指すスタートアップさんとやりとりをしてよかったなと思います。シャープは新しいことを目指したトライアルはどんどん進めていこうという会社ですので、是非今後もスタートアップさんとの連携拡大に向けて新しいサポートプログラム創出など色々とやっていきたいと思っています。

牧田

日本のメーカーがこれ以上、海外資本化しないでほしいですね。日本発信で、世界中で使ってもらえるモノを創る会社がどんどん増えていってほしい、と。いい事例になるようにこれからも頑張っていきます。

ソフトとハードの融合に向けた
経済産業省政策

Startup Factory構築事業は、ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業として、スタートアップとスタートアップファクトリーの連携事例の創出・試作補助を行っております。創出された事例を調査することで、Startup Factory構築事業にて作成した契約ガイドライン、ケーススタディを更新していくことを予定しています。