JAPAN INNOVATION DAY 2020 by ASCII STARTUP

「カンファレンスセッション」
レポート

失敗を繰り返せるシステムと関係性が、製造工程を加速し、品質にこだわる時間を作る

中間

まず、製造業のお二人に伺いたいのですが、スタートアップとお付き合いする際に大変なこと、こういうスタートアップならうまくいく。あるいは、うまくいかないというケースを教えていただけますか。

橋爪

うちの場合、初期のアイデアから問い合わせが来るんですが、仕様がはっきりしていない…というケースは苦労します。服部さんの場合は、歩く仕様書ぐらいにはっきりしていたので、すごくスムーズでした。

山田

最初の打ち合わせはスワニーさんで行ったんですが、仕様書を起こすのではなく「これはどうですか?」と話しながらホワイトボードに書き込んでいって、その場で詰められたことも爆速につながりましたね。

中間

仕様が明確というのと、仕様書があるというのは違うのですか?

山田

やりたい事がはっきりしているかどうか、ということですね。

橋爪

想いがしっかりしていて、こういったターゲットにこういう評価をして欲しい…といった仕様を持っているなら、いわゆる昔ながらの”仕様書”が無くても、我々の仕組みを用いればスピーディーにクリアできるかなと思います。今回は最初の打ち合わせ後に筐体の設計をして、3Dプリンターで試作したものを1週間以内に服部さんに送ったと思います。「こんなイメージです」と絵を持参されていたので、やりやすかったですね。

服部

すぐに試作品が届いて、もちろん細かいところではいろんな課題はでてくるんですが、社内では「このままCES出せちゃうね」なんて話になって。それもあって安心してお任せできました。

中間

服部さんはこれまでにスワニーさん、ノエックスさん以外の会社ともお付き合いしてきたと思うんですが、このお二人だから助かったと感じていることは何でしょうか?

服部

ベンチャーがものづくりをする時は、チャレンジングなものを作ろうとするじゃないですか。うちの会社には「意味のある失敗をしよう」という行動指針があるのですが、その思いを共有できる仲間だと思っています。最初に3Dプリンターで試作を作っていただいた時も、完成品まで何回失敗できるかと逆算しながら進めていけたのが大きいと思います。

中間

発注する側が「失敗していいよ」と言うのも凄い勇気がいることだと思います。

橋爪

本当にそう思います(笑)。ただ、チャレンジングな事をやっているので、作る側もチャレンジングだと思うんです。なので、今までのものづくりの進め方をしても上手くいかないのかなと。途中何回か失敗して、形をつくっていく、ということが僕達がやるべきことで、今の時代このタッグならそれができるんだと思えたのが、一番衝撃でしたね。

橋爪

失敗失敗と話が続きますが、我々もプロなので、最後は成功品ですからね(笑)

橋爪

要はスピードが速ければ、やり直しを何回もできる。普通なら1回しかできないことを3回できるってことなんですよ。それだけ細部にこだわれるわけですよね。服部さんがAI開発にこだわるための時間を、我々は自分たちの仕組みの中で作り出しているということ。より良くするための時間ですね。納期とコストに追われて「もう時間がないから出しちゃえ」というものではない。今の日本にはすごく重要なことなのではないかと思うです。だから我々は、それを実現するためにスピードのある仕組みを作ったわけです。

ソフトとハードの融合は、役割分担と全員責任で対応

中間

ハードの開発が早くなったら、ソフトの開発も早くなると思いますが、そこはどういう役割分担やプロセスを踏まれましたか?

山田

製品として動かすところのソフトはうちのエンジニアが作っています。(ファーストアセントさんには)一番得意なAIのところに集中していただき、マージ(※1つの製品として動くようにソフトを結合)しました。

服部

動作させるためには、色々組み込みで細かい作業があるんですが、そういった部分が整備されているので、安心して解析周りの開発に注力することができたのが、非常に良かったですね。

中間

マイク側がどういった音が取れるかによって、AI側が対応しないといけないことがでてくるとか、ハードとソフトの相互作用の部分はどう対応していましたか?

服部

最初に動いた試作品では、ノイズの問題で求めていた品質に到達しなかったんですね。その際は、音源ファイルは別撮りして、音が取れたよね、という後の段階から、一通り動くことをテストしていました。その後、ハード側が改良されたタイミングで、取るところだけ書けば動くようにしておいて、コアな部分の開発を先に進めていました。

山田

橋爪さんとやっている別の音系のIoTデバイスの話なんですが、ノイズ関係では結構苦労しますね。量産後に問題が発覚して、その原因探しを対応したり。

橋爪

ノイズ関係は一般的に、筐体屋さんとハード・ソフト屋さんの関係が深い領域です。通常ですと、自分は筐体屋だからそこから先は知らないよとか、設計が悪いよ、となるのですが、我々はいっしょにやります。

山田

逆に、こういった問題は筐体屋とソフト・ハードが皆で協力しないと絶対解決しません。筐体側だけで対応しても、ソフト的に問題が解決しているか分からないので。そういった課題がでてきた時は、うちとスワニーさんは2日間テレビ会議つなぎっぱなしで、問題を解析していた時もありました。

橋爪

結局、これを作る、という想いがあるから、何屋さんとかは言っていられません。全体責任です。まあ問題があったらすぐに対応して修正することですね。

服部

やはり最強タッグだと思います(笑)

スタートアップと製造業のさらなる連携に向けて

中間

ありがとうございます。では最後にスタートアップでものづくりをしようと考えている方々に、一言ずつメッセージをいただけますでしょうか。

橋爪

スタートアップの皆さんは結構悩まれていますけれど、まずは「駆け込んでください」って想いが強いですね。相談に来ていただければ、たぶん1日のうちにいろいろジャッジして「ここまで出来ます。これは出来ません」とはっきり伝えられる仕組みが我々には出来ていますので。我々も受託という思いではやっているのではなく一緒に作り上げる共創と考えているので、世界中に発信できるものを一緒に作ることができればと思いますので、よろしくお願いします。

山田

ほとんど言われてしまったので…。とにかく駆け込んでください(笑)。相談していただければ何かしらのことは言えると思いますので。うちもベンチャーなのでベンチャーの気持ちはよく分かります。「こういうことをやりたい」という熱い想いを持って駆け込んでいただければ、一緒に解決していきたいと思っています。

服部

私は本当にお二人のようなパートナーを見つけられて幸運だったと思っていますし、このようなパートナーがいると良いものづくりが進むのだと実感しています。何回失敗できるだろうという考えでやらないと、本当にいいものができません。そういったことを考えて、製造業側にちゃんと伝えて、これでいいからまず動かそう、というスタンスでやるといいものづくりができると思います。

中間

本日はありがとうございました。

本カンファレンスディスカッションは、
『JAPAN INNOVATION DAY 2020 by ASCII STARTUP』イベントで行われたものです。