事例紹介

チャレナジー

Company profile企業概要

チャレナジー
社名
株式会社チャレナジー
代表者
清水 敦史
所在地
東京都墨田区横川1-16-3 センターオブガレージ Room01
設立
2014年10月
従業員数
15名
事業内容
垂直軸型マグナス風力発電機の開発・製造
【垂直軸型マグナス風力発電機】
風を受けて円筒が回転することで発生する力
(マグナス効果)を利用し、かつ、全方向からの風に対応できるよう、垂直軸にした風力発電機

製造するハードウェア(10kW量産試作機)

製造するハードウェア(10kW量産試作機)

部品構成(主要品のみ)

部品構成(主要品のみ)

製造企業 連携図

製造企業 連携図

ケーススタディ一覧

ケーススタディ一覧

case1新型風力発電機の原理試作プロセス

原理試作

安全安心の電気を供給する決意と有力スタートアップ支援者との出会い

チャレナジー創業者である清水氏は、2011年3月11日に起きた東日本大震災と原子力発電所の事故をきっかけに、安全・安心なエネルギーをもたらす新方式の風力発電機に係る事業を立ち上げることを決意した。

清水氏は、自らのアイデアをもとに小型の第1号試作機を製作し、2013年、垂直軸型マグナス風力発電機の特許を取得。

その後、会社設立前の2014年3月、スタートアップ支援企業「リバネス」が主催・運営するビジネスプランコンテスト「テックプラングランプリ」に参加。最優秀賞を獲得する。

このとき、清水氏は、同イベントの審査委員長であった中小製造業「浜野製作所」の浜野社長と出会い、同社が新たに開設したインキュベーション施設“Garage Sumida”(ガレージスミダ)に入居。同施設内で、浜野製作所に試作をサポートしてもらうこととなる。

チャレナジー課題・転機 1.1
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジー創業者の清水氏は、2014年3月、スタートアップ支援企業「リバネス」が主催・運営するビジネスプランコンテスト「テックプラングランプリ」に参加し、最優秀賞を獲得した。

テックプラングランプリには、大小様々な企業がスポンサーや審査委員として参加しており、中でも、浜野製作所は、スタートアップやクリエイターの設計支援や試作支援を行う企業として当時から有名かつ実績のある企業だった。

テックプラングランプリをきっかけに浜野製作所との繋がりを得た清水氏は、会社設立にあたり、浜野製作所が新たに開設したばかりのインキュベーション施設“Garage Sumida”(ガレージスミダ)に入居し、同施設内で浜野製作所から試作のサポートを受ける体制を構築した。

また、チャレナジーは、テックプラングランプリ参加をきっかけに浜野製作所以外にも多くの企業と出会い、そのうちいくつかの企業は、今に至るまで重要な連携先となっている。

さらにチャレナジーは、浜野製作所の持つネットワークを通じて多様な中小製造業と繋がり、部品ごとに最適な連携先(発注先)を確保している。

スタートアップが得た学び
有力なスタートアップ支援者との繋がりが出会いの連鎖を生む
このように、チャレナジーは初期にスタートアップ支援企業「リバネス」と出会い、それをハブとして、浜野製作所等の重要な連携先を獲得している。さらに、浜野製作所自身も中小製造業ネットワークのハブとしての機能を有しており、それらを合わせることでチャレナジーは非常に幅広い企業ネットワークを築くことに成功した。
風力発電機のような大型で複雑なプロダクトを開発・製造するためには、得意領域や企業規模の異なる数多くの製造業企業と連携していく必要があり、それをゼロから自力で探索していくことは容易ではない。
だからこそ、スタートアップ支援者のネットワークや、製造業企業のネットワークのハブとなっている企業と、早い段階で繋がりを持っておくことが重要だと考えられる。

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墨田区の町工場による設計・試作支援を受けて第2号試作機を製作

清水氏が手作りした第1号試作機は、発電効率がまだ著しく低く、そのままでは実用化が困難なものだった。そこで清水氏は、発電効率の向上に向けて風車の形状の改良に取り組み、試行錯誤のすえ、理想的な形状を発見するに至った。

新たな形状の発電効率を正確に測定するため、一回り大型の試作機を製作して、風洞試験を行う必要があった。しかし、チャレナジーの風力発電機は既存のものとは全く異なる形状であり、風洞実験に耐える構造をどうすれば低コストで作れるのか、わからない状況だった。

しかしチャレナジーは、浜野製作所をはじめ様々な製造業企業からの協力を得ながら試作を繰り返し、ついに、風洞試験用の第2号試作機を完成させる。

チャレナジー課題・転機 1.2
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーの創業者である清水氏が初めに製作した第1号試作機は、発電効率がまだ著しく低く、そのままでは実用化が困難なものだった。そこで清水氏は、発電効率の向上に向けて風車の形状の改良に取り組み、試行錯誤の末、理想的な形状を発見するに至った。

新たな形状の発電効率を正確に測定するため、一回り大型の試作機を製作して、風洞試験を行う必要があった。しかし、チャレナジーの風力発電機は既存のものとは全く異なる形状であり、風洞実験に耐える構造をどうすれば低コストで作れるのか、わからない状況だった。

当時、チャレナジーは数人程度のごく小規模な企業であり、社内には機械設計を専任で行える人材がいなかった。そこで同社は、墨田区の町工場「浜野製作所」から支援を得て、二人三脚で第2号試作機の設計と製作を進めていった。

浜野製作所は、板金部品等の金属加工を主要事業とする企業だが、当時から新規事業開拓の一環として(加工だけでなく)「最終製品の設計支援」や「コンセプトの具現化支援」にも乗り出しており、チャレナジーへの支援もその一環として行われた。

同時に、風力発電機に必要な様々な専用部品の製作に協力してくれる企業を探索。風車の軸受を提供してくれているTHK株式会社をはじめ、その後も関係が続く企業との取引が始まる。

最終的に、部品の大部分の調達と製造を浜野製作所が担い、風洞試験用試作機(第2号試作機)が完成する。

スタートアップが得た学び
原理試作における「設計」を適切に助言や支援してくれる工場は貴重
ものづくりスタートアップは、量産試作に移るまでに複数回の試作を繰り返して、最終的な製品と同じ機能を持つ試作品を製作する。その過程では、専用部品の設計や汎用部品の選定、試作品製造の外注など様々なことに取り組む必要がある。
ハードウェアの開発・量産経験が豊富なエンジニアが社内にいない場合は、これらのことを全て自力でこなしていくことは容易ではなく、外部に頼らざるを得ない。一方で、スタートアップの製品開発を「設計」の段階から適切に支援できる企業は多くない上、設計を全て外部に「丸投げ」してしまうと、作るべきものが作りきれない、自社に技術が残らない等、別の問題も発生する。
チャレナジーは、浜野製作所という適切なパートナーと出会って、しかも丸投げではない二人三脚の緊密な関係を構築して製品の設計や試作を進めていくことができたという点で、非常に貴重かつ重要な事例だと考えられる。

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資金調達手段が限られる創業期に試作品製造コストが大きな負担に

浜野製作所をはじめとした企業や支援者の協力があり、チャレナジーは第2号試作機を完成させることができたが、部品代、組立代等で、約500万円の資金が必要となった。

この金額は、創業初期で資金が限られていた同社にとって、大きな負担となった。しかし、それまでに獲得していた助成金やエンジェル投資家からの出資により、なんとか資金ショートを回避することができた。

チャレナジー課題・転機 1.3
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーが第2号試作機を完成させるまでには、部品代や組立代等で、約500万円のコストがかかった。

浜野製作所等の協力企業の努力もあって、コストはぎりぎりまで抑えられていたが、それでもこの金額は創業初期で資金が限られていたチャレナジーにとって大きな負担であった。

特に当時は、ものづくりスタートアップに出資するVC等は限られており、当然銀行からの融資を受けることもできず、資金調達の手段は限られていた。

チャレナジーは、NEDOの「SUI(研究開発型ベンチャー支援事業)」から資金的な支援を受け、そのコストをどうにか賄うことができた。

スタートアップが得た学び
必ず起こる「想定外の手戻り」に備えて資金的余力を確保する
ものづくりスタートアップの製品開発では、設計と試作を行きつ戻りつしながら試行錯誤することが欠かせない。問題なのは、どの程度の試行錯誤が必要なのか、事前にはなかなか見通せないことだ。
手戻りが発生して試作の回数が多くなれば当然それがコストとして積み上がり、開発期間も長期化していく。つまり、ものづくりスタートアップの製品開発は、結局いくら必要でどの程度の時間が必要なのか事前には予想しきれない、というところに難しさがある。そのため、突発的で想定外の手戻りがあっても耐えられるよう、資金調達活動を行い、資金的な余裕を確保し続けることが重要。
チャレナジーがそうであったように、政府の補助金等は創業期のものづくりスタートアップにとって重要な資金調達手段になり得る。自社が該当する支援政策に常にアンテナを張り、積極活用していくことが必要と考えられる。
密なコミュニケーションにより工場側の心配事やリスクを減らすことが重要
試作等を請け負う工場は、スタートアップに対して割高な見積を提出することがある。これは、スタートアップとの取引では想定外の手戻りやコミュニケーションのすれ違い等により工数が膨れ上がるリスクが高く、赤字にならないよう一定のバッファを設けているためと考えられる。
チャレナジーと浜野製作所の場合、両者の間でのコミュニケーションが円滑になされていたことで、浜野製作所側は不要なバッファを上乗せせずに、適正な価格を提示することができた。(むしろ、浜野製作所側がリスクを引き受けて、価格に乗せていなかったという見方もできる)
なお、試作等を請け負う工場の中には、新規顧客には特に高い見積を出す工場もある。(大企業との継続的な取引が中心の工場には、こうしたスタンスの工場が一部存在する。)工場側の見積に対するスタンスを確認し、両者の間で折り合いがつかない場合には、取引を見送ることも重要。

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case2新型風力発電機の量産試作プロセス

量産化設計・試作

試作機の大型化にともない、専用部品を製造できる工場が見つからなくなる

第3号試作機で風車が約3メートル、第4号試作機は約10メートルになり、大きな部品が必要になるが、それらを製造できる工場は限られる。チャレナジーでは、これら特殊な部品の製造を委託する協力工場を、試行錯誤しながら探索してきた。

チャレナジー課題・転機 2.1
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーの開発する新型風力発電機は、多種多様な専用部品で構成されている。第1号試作機や第2号試作機の開発の段階では、風車自体がそれほど大きくなかったため、浜野製作所や浜野製作所がネットワークを持つ町工場で大部分の部品を製造することができた。

しかし、第3号試作機は風車が3メートル、第4号試作機は風車が10メートルを超える大型のもので、それを構成する一つ一つの部品も大きく、それらを製造できる設備やその設備を持つ工場は限られてくる。

チャレナジーでは、これら特殊な部品の製造を委託する協力工場を、試行錯誤しながら探索した。主要部品一つにつき、それを作ることができる可能性のある工場を50社以上リストアップし、それら全てに打診し、1社1社コミュニケーションを取って、最も適した工場を1社見つけるという作業を行った。

例えば、チャレナジーの風力発電機の主要部品にあたる円筒は、長さが10メートル(第4号試作機)という巨大さで、軽さと耐久性が同時に求められる特殊な部品である。チャレナジーのエンジニアは、インターネット等の情報や加工技術に関する展示会に足を運ぶことに加えて、街中で円筒形状の製品を見つけてはその製造元を調べるなど、あらゆる方法で情報を収集。日本中から最適な工場を見つけ出した。

スタートアップが得た学び
特殊部品は工場探しに苦労するそれでも国内には製造可能な工場が必ずある
チャレナジーのようなスタートアップが開発に取り組む「全く新しいハードウェア」は、汎用部品の組み合わせで作ることはできず、専用部品の開発が必要になる。そして、その部品が特殊なものであればあるほど、それを作ることができる工場自体が限られるため、工場探しに苦労する。(例えば、大型の部品や、特殊な加工方法が必要な部品、特殊な素材を用いた部品等)
それでも、日本の製造業のすそ野はまだまだ広く、日本中を探せば必要な部品を製造できる工場は必ず見つかる。インターネットや展示会、人からの紹介、街中で見かけた製品からの逆引きなど、あらゆる手段で情報を集めて、自社が望む部品を作ることができる企業にたどり着くことが重要。

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確かに支払ったにもかかわらず注文した部品が中国から届かない

インターネットで見つけ、現地視察まで行った中国工場に部品を発注した際、代金支払い後も製品が送られてこないトラブルが発生することもあった。現在も、海外で取引先候補を探索しているが、この経験を踏まえ、慎重を期している。

チャレナジー課題・転機 2.2
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

第3号試作機に使用する部品の調達先を探していた際、チャレナジーはインターネット経由で見つけた中国のとある工場とやり取りをするようになった。

その工場は、チャレナジーが必要とする部品とよく似た部品を製造しており、その部品を安価に販売できるとのことだった。チャレナジーのエンジニアは、現地に赴いて工場を視察し、その上でその部品を発注することを決定。メールで指定された口座に前払いで代金を振り込んだ。

しかし、その後何日経っても発送の連絡が来ず、不審に思ったチャレナジーが問い合わせると、「我々には入金が行われていない。メールがハッキングされた。」と主張するばかりで、埒が明かない状態になってしまった。

この件は、結局チャレナジー側が泣き寝入りすることとなり、これ以降しばらくの間、チャレナジーは海外工場との取引に消極的になっていたという。

ただ、その後も必要に応じて海外の工場探索は続けており、最近では①すでに取引がある日本企業からの紹介を受ける、②工場側に過去のトラブルのことを正直に話した上で振込先口座を念入りに確認させてもらう等、相手が信頼できる企業であるかどうか慎重に見極めた上で、取引するようになった。

スタートアップが得た学び
海外工場とゼロから取引する際は「思いもよらないトラブル」が頻発するスタートアップと言えど、石橋を叩いて渡る慎重さが必要
海外工場の活用は、ものづくりスタートアップにとって必要不可欠。しかし、その開拓にあたっては慎重を期さなければならない。
チャレナジーの場合、取引先候補であった中国企業の工場視察まで行いながら、前払費用の入金後、製品が送られてこないというトラブルに巻き込まれている。
インターネットを活用することで、簡単に海外の取引先候補を探索して取引が行えるようになった。しかし、チャレナジーのようなトラブルに遭うケースも想定されることから、同社が行うように、他の日本企業との取引実績(その日本企業から紹介を受ける)、代金振込口座の確認を入念に行うなど、信頼の担保をとった上で取引を検討することが必要となる。

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取引先が納期を守ってくれないトラブル

発注書と請書に納期遅延ペナルティ等の重要事項が書かれないまま、それらを取引先との契約に代用したことで、取引先に納期を守ってもらえない事案が発生した。

再発防止のため、チャレナジーでは重要事項の記録を残すとともに、取引先と密に連絡を取り、製造現場に通い、打ち合わせを重ねることで、自らその進捗をフォローした。

チャレナジー課題・転機 2.3
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーでは、部品や材料の取引先が中小企業の場合、個別に契約書を交わすよりも、発注書と発注請書のやり取りで済ませることが多い。そもそも、法務担当部署を持たない中小企業が多く、「細かな記載がある契約書を送られても困る」と言われるケースも多い。

しかし、発注書と発注請書には、納期を遅延した場合のペナルティが書かれていないことがあり、取引先に納期を守ってもらえない事案が発生したこともあった。

納期が守られない場合、チャレナジー側で代替部品・材料を調達せざるを得なくなる。そのため、今では、納期等の重要事項の記録を残すとともに、取引先に納期を守ってもらうため、先手の働き掛けを行っている。

例えば、①取引先に嫌がられるくらい連絡を取り、②遠方であっても何度も取引先の現場に足を運び、③Face to Faceの打ち合わせを行い、④打ち合わせで「次に何を行うか」を取引先と共有すること等を心掛けている。

スタートアップが得た学び
重要事項のやり取りを証跡として残しその履行を求める(特に納期は注意)
取引先が中小企業となる場合、スタートアップ側の都合というより、取引先側の都合もあって、契約書を締結できないことがある。その場合、チャレナジーのように、発注書と発注請書をやり取りし、取引を成立させることになる。
その際、口頭で約束していた内容が発注書・発注請書に記載されず、履行されないというトラブルに繋がる可能性がある。チャレナジーの場合、納期遅延ペナルティが記載されていなかったため、納期が守られない事態が起こっている。
このような事態を防ぐべく、メールなど記録に残る形で取引先と重要事項(例:納期や遅延ペナルティ)についてやり取りする、発注書面に重要事項を直接明記するなど、最低限の防波堤を築き、その履行を求めることが必要となる。
委託先とのしつこいほどのコミュニケーションと進捗確認
ただ、上記の通り、納期が明文化されていても、それが実際に履行されるとは限らない。実際に、納期通りに部品・材料を納めてもらうためには、取引先に任せきりにしたまま放置してはならない。委託先と積極的にコミュニケーションを取り、進捗を確認することが必要になる。

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ハードウェア・エンジニアの採用に向けた活動

チャレナジーでは、試作機開発と並行して、ハードウェア・エンジニアの採用を着実に進めてきた。結果、第2号試作機の段階では社長を入れて2人しかいなかったハードウェア・エンジニアが今では6人になっている。

しかし、まだ社内にハードウェア・エンジニアが不足している状況。特に、大型部品の量産や運用に携わった経験・ノウハウを持つ人材が不足。このような経験やノウハウを持つ人材は、ほとんどが大企業で好待遇かつ安定した仕事を得ており、簡単には採用できない。

チャレナジー課題・転機 2.4
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーでは、試作機開発と並行して、エンジニアに特化した転職エージェント、研究者人材の求職サイト(JREC-IN等)を活用してハードウェア・エンジニアの採用活動を進めてきた。

ハードウェア・エンジニアは母数が少ないが、ものづくり、設計、環境・エネルギーという観点を掛け合わせていくと、求人を出す企業も少ない。そのため、チャレナジーと想いを同じくする人材に出会いやすく、着実にエンジニアを採用することができた。結果、第2号試作機の段階では社長を入れて2人しかいなかったハードウェア・エンジニアが今では6人になっている。

しかし、それでもまだ社内にハードウェア・エンジニアが不足している状況であり、チャレナジーにとって悩ましい問題となっている。特に、今のエンジニア陣は開発や設計といったものづくりの上流工程を専門とする人材が多く、今後の量産、その後の運用段階を担うために必要な経験、ノウハウを持った人材が不足している。

一方で、風力発電機のような大型設備の量産や運用に携わった経験のある人材は、ほとんどが大企業で好待遇かつ安定した仕事を得ており、スタートアップが求人を出してもそう簡単には採用できない。チャレナジーでは、引き続き、採用活動を積極的に行いつつ、不足するノウハウを外部の協力企業から学ぶなどして、今後の本格的な量産に向けた準備を進めている。

スタートアップが得た学び
積極的な情報発信によってハードウェア・エンジニアを引き付けることが重要
スタートアップは常に人材不足に悩まされるが、特にものづくりスタートアップの場合、製品設計、開発、製造に携わるエンジニアの不足は会社にとって大きな問題となる。
チャレナジーの場合、今もなおハードウェア・エンジニア不足は続いているものの、これまで、エンジニア専門エージェントや研究者人材の求職サイトを活用することで着実に採用を進めてきた。また、同社の場合、メディア露出によって同社の想いの発信と認知度向上が同時に実現し、エンジニアが同社を発見するきっかけとなっていることも採用活動上プラスに作用している。
採用したいハードウェア・エンジニアがどこにいるか、どのような手段を使えば彼らと接することができるか、同じ想いを持った人材に集まってもらうためにどうすればよいか、接点として有効な人材サービスを活用しつつ、ハードウェア・エンジニアとの出会いのきっかけとなる活動(例:メディアを通じた想いの発信)を続けることが必要になる。

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社外のエンジニアをボランティア・スタッフとして巻き込む

チャレナジーでは、発電効率向上や低コスト化に向けて、常に、新しい部素材の活用や製品設計・構造の見直しを続けているが、そのアイデア出しの段階で、外部エンジニアにボランティア・スタッフとして協力してもらっている。

外部エンジニアは、メディア等で同社を知り、その想いに共感した方々。その中には、大企業で大型設備やプラントの開発に長年携わった経験を持つ人材もおり、社内からは出てこない発想や知恵を出してくれることも少なくない。

チャレナジー課題・転機 2.5
段階
  • 原理試作
  • 量産化設計・試作
  • 量産・量産後
  • その他
悩み
  • 考え方
  • 探し方
  • 付き合い方
  • その他

チャレナジーでは、風力発電機の発電効率向上や低コスト化に向けて、常に新しい部素材の活用や製品設計・構造の見直しを行っている。その検討作業は、チャレナジーのエンジニア陣が中心となって行っているが、アイデア出しの段階では、週末、同社のボランティア・スタッフとして活動する外部エンジニアの知恵を借りることも多い。

この外部エンジニアは、メディア等を通じてチャレナジーのことを知り、同社の想いに共感した方々。平日は大手企業で働いているが、「自分にも手伝えることがないか」と連絡してきてくれた。同社では、こうしたエンジニアをボランティア・スタッフとして巻き込み、上述のようなアイデア出しに協力してもらっている。

ボランティア・スタッフとして参加しているエンジニアの中には、大企業で大型設備やプラントの開発に長年携わった経験を持つ人材もおり、社内の人材からは出てこない発想や知恵を出してくれることも少なくない。そのため、ボランティア・スタッフの中から、同社へ転職してくれる人材が現れることも期待されている。

スタートアップが得た学び
“社員”という形にこだわらず、エンジニアを巻き込む仕組みを作ることが重要
すでに課題・転機 2.4 に記載した通り、スタートアップにおけるハードウェア・エンジニアの不足は、会社にとって大きな問題となる。しかし、“正社員”としてのエンジニア採用は、いかに工夫を重ねたとしても、すぐに会社が望むペースで実現することが難しい。
そのため、チャレナジーのように、ボランティア・スタッフとして外部人材が参画できる仕組みを社内に設けることをはじめ、“正社員”という形式にこだわらず、ハードウェア・エンジニアを巻き込む方法を持っておくことが必要になる。人材派遣、業務委託、アルバイト・インターンシップ、ボランティア等、様々な形で会社に関与・貢献することができるよう、仕組みを整えておくことがスタートアップには欠かせない。

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